大好き奥田さんの新刊。
妊娠した。周りは正しい妊婦であるよう求めてくる(「理想のいれもの」)。
鼻のつけ根にある大きなホクロ。コンプレックスから解放される日が来た(「君の線、僕の点」)。
中学生の息子に髭、自分の頭には白いものが(「彼方のアイドル」)。
誰もが経験しうる、身体にまつわるあれこれ。 そこから見えてくる新たな景色を、やわらかな眼差しで掬いとった短編集。
この中では「君の線、僕の点」が一番好き。コンプレックスをこじらせた人に寄り添う奥田さんの優しさ。
自分が死ぬほど気にしていることも、他の人からは「そんなに?」だったりするんだろうけどね。